記者.障害にまつわることで、子供の頃の思い出話とかあればお聞かせ願いますか。例えばびっくり仰天するようなこととか危なかったこととか、小さなことでも。
網本.あまり華々しい幼少時代ではありませんでしたけど。「小さいときからお転婆で天真爛漫だったよ」と母にはいつも言われます。手術してギブスを右足にはめていても、その足を使って砂場で遊んだり、活発な女の子だったらしいです。
小学校時代は子供だったからなのか、差別もあったりして、いい気分がしないことも多かったのですが、そういうときも友達が「そんなやつらとはつるまないぞ!」と助けてくれたりしました。そう言ってくれた人がバスケの友達だったこともあって、バスケが楽しい、続けたいと思えるようになったのかなぁと感じます。
記者.そのほか、今回の質問では伝えられなかったことや、何か伝えておきたいことなどがありましたらご自由にどうぞ。
網本.いっぱいあるんですけど(笑)。大阪で国際親善の大会があるのですが、来年もまた海外チームを呼んで試合ができそうですし、2024年のパリパラリンピックも車いすバスケが盛り上がるように頑張りたいと思います。
大阪の淀川区にあるストリートバスケのコートのアンバサダーに就任させていただいて、バスケを大阪でももっと盛り上げられるように活動していきたいです。
記者.アンバサダーって?どんなことをするんですか?
網本.バスケのことを説明したり、表敬訪問をしたりします。バスケットボール文化を盛り上げるために魅力を伝えたいと思っています。
記者.最後の質問です。この特集をご覧のみなさま、特に悩んでいる当事者の方へメッセージをお願いします。
網本.私が言えることは限られていると思うのですが、障害って、人それぞれ違うことだし、その人それぞれが生きてきた人生そのものが違うと思うのです。障害を持っているから、つらいということもあるでしょうけれども、障害を持ってなくても同じようにつらいことはあると思うんですよね。それって人と比べることができないし、自分の中ですごく大きいことだと思っていても、違う人から見ると小さなことかもしれない。はたまた、その逆かもしれない。
そういうこともあるので、人それぞれの悩みや「壁」は、自分の人生の中で、自分でしか超えられない。でも、それを超えようと思ったとき、しんどいこともあるかもしれないけれども、超えた先には明るい未来が待っているかもしれない。そういうことを頭の片隅にでも覚えておいてほしい。
そんな中、辛くても、「今は無理しないでおこう」とか、「今日はちょっとがんばれそう」とか思うこともあると思う。
また、自分の中の辛いことや悩んでいることを、言える範囲内で人に言ってみるのもいいと思います。すごく勇気がいると思うけれども、話せる人がいると、その人も助けてくれたりとか、言うだけでもたぶん、すっきりしたり、そういうちょっとしたことも大事です。
自分のペース、マイペースで辛いこととか悩んでいることを乗り越えていってほしいなぁと思います。
記者.ありがとうございます。以上になりますが、よろしいでしょうか?
木下.付け足してもよろしければ……。網本の担当広報をするようになり1年ちょっとになるのですが、それまで私は車いすバスケのことを何も知りませんでした。網本の試合を見たり、聞いたりして競技のことを初めて知りました。去年はパラリンピックもありましたし、今ではすっかり車いすバスケのファンになりました。
網本もさらっと語っていましたが、異なるレベルの障害を持っている方が揃わないとチームが成り立たないというルールが、なんて素晴らしいんだろうと思いました。パラスポーツの中でも級別や障がいの重度別に分けている競技が多いですが、車いすバスケに関しては、いろんな障害を持った人がいないと、チームが成り立たないという仕組みになっています。
選手ひとりひとりにものすごく明確な役割が与えられていて、全員が必要とされるチーム編成で結果を出していくスタイルが素晴らしいです。
私たちの暮らす社会でもそういう風になればいいなと網本と話したことがあります。障害のあるなしではなく、会社の中とか、社会の中でも居合わせた状況の中で誰もが強者だったり、弱者だったりするだろうけども、それぞれに役割があって、みんな居ないと成り立たないから、それぞれで補完しあっていく。
車いすバスケでは、網本のようなハイポインターが得点を取るためにもローポインターの選手が道を空けてくれないとシュートが決まらないんですよね。ひるがえって社会に当てはめて考えてみても、理想的な考え方の競技だと思いました。
また、網本は、女子チームに限らず、男子チームでもポイントゲッターで活躍しています。通常の女性の社会進出、男女平等とかをはるかに超えて、超越したリーダーシップが、そこには個々人レベルであるのだと思いました。
パラスポーツに限らず、スポーツマンシップのもとでそういったことが実現されていて、素敵だと感じました。
記者.ありがとうございます。重ね重ねですが、本日は、ありがとうございました。
お知らせ
●女子車いすバスケットボールチーム「カクテル」
ホームページ:https://cocktail-wheelchair-basketball.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/cocktail_wbc/
●網本麻里インスタグラム
https://www.instagram.com/mariamimoto/
(網本選手のコメント)練習を見学、体験したいという方も、コロナが落ち着いきていて、受け入れているので、 実際に練習に来られる方もいるので、気軽に連絡を頂ければと思います。
ペルオンとは?
ペルオンはホープグループ、ミッション株式会社を母体にしたペルオン実行委員会が制作してるポータルサイトです。
障害の当事者が作る当事者目線のサイトが作れないかと思い、サイトを立ち上げました。ペルオンという名前はPersonnes handicapées(ペルソンヌ・オンディキャピー)の略で、障害者仲間という意味からとりました。
当事者会・支援団体・家族・地域・職業・年齢などの枠を超えて、障害者に関係する全ての人が連携して、さまざまなことにチャレンジし、障害者の可能性を探ってまいります!
ペルオンに興味を持ったあなた!もうすでに、仲間なんです。
- トピックの分類
- 精神障害の仲間
- 発達障害の仲間
- 知的障害の仲間
- 身体障害の仲間
- その他の仲間
- 当事者
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- 医療従事者
- 研究者
●「障害」の表記について
当サイトでは、「障がい者」を「障害者」と表記しています。
「障がい者」という表記の場合、音声ブラウザやスクリーン・リーダー等で読み上げる際、「さわりがいもの」と読み上げられてしまう場合あります。そのため、「障害者」という表記で統一をしています。
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