2022年11月30日更新

大阪にゆかりのある選手に聞いてみよう!網本麻里選手-車いすバスケットボール(パラリンピック)(1/2)

東京パラリンピックでは車いすバスケットボールの女子日本代表共同キャプテンでご活躍、そして株式会社ビームス所属の網本麻里選手へのインタビューです。スポーツの魅力や障害にまつわる話など、さまざまなことをお聴きしてみました。

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笑顔で対応してくださる網本選手と担当広報の木下さん

記者.よろしくお願いします。そうしましたら、さっそくですが、東京パラリンピックでは車いすバスケットボール女子の日本代表共同キャプテンだった網本選手ですが、出身地やアピールできるポイントなどや自己紹介、それとスポーツの活動紹介をお願いします。

網本.名前は網本麻里(あみもとまり)です。出身地は大阪です。いまはビームスに所属しつつ、女子チームで、「カクテル」っていうチームと、男子チームで「伊丹スーパーフェニックス」というふたつのチームに所属しています。車いすバスケットは18年ぐらいしています。小学3年生からミニバスをしていまして、今も一筋にバスケットをしています。

記者.お話頂ける範囲で結構ですので、小学生から始まったそのスポーツと転機が訪れた、そのきっかけについてお話いただけますか?

網本.生まれつき右足が悪くて、右足の足首に障害があったのですが、両親は普通の子と同じように生活をさせてあげたいという思いがあったようです。2歳ぐらいの時から器械体操をさせてもらっていました。

小学校3年生の時、友達にミニバスへ誘ってもらって、やるようになり、小学校3年生の1年間は器械体操と両方をするようになりました。その後4年生のときに、母からいずれか(バスケか器械体操か)選んでほしいと言われ、器械体操を辞めて、バスケだけに転向しました。

障害は治るものではないので小学校のときも通院していましたが、中学の時に手術が必要となり、「体育や運動ができなくなるかもしれない」と先生に言われました。後で聞いた話だったんですが、母は娘がバスケットをしている姿を見たい、何かできることはないかなという思いから、自宅近くの障害者スポーツセンターで車いすバスケットができることをそこの職員の方から聞いていました。

そしてそこに通ってみないかと言われました。それが車いすバスケットを一番最初に知るきっかけでした。その時は、「車いすバスケットやりたい!」という感じはまったくなくて。こういうバスケもあるんだなとは思いましたが、自分は普通のバスケができているし、車いすバスケを本格的にしたいとは思わないまま続けていたのが最初の数年間でした。

その後、高校1年生の春にオーストラリアに遠征に行くことが転機となりました。19歳以下で男女関係なく、だれでも参加できる車いすバスケの国際交流プログラムがあったので、行きました。もちろん、オーストラリア、アメリカからの選手などもいました。同じ年代の選手たち、女子選手などと試合をして、またその人たちと戦いたいと思いました。それなら日本でクラブチームに入り、練習をして日本代表選手になれば実現するよと一緒に行ったスタッフの方から言われました。「ああ、それだったら車いすバスケットでパラリンピックを目指そうかな」と思ったのが転機になりました。

記者.いまちなみにスポーツ自体の活動はしんどい感じですか?楽しいですか、どんな感じでいらっしゃるかを教えていただきたいのですが。

網本.そうですね。カクテルとしては皇后杯が6連覇中で。8月にも皇后杯が控えています(注:5月に取材させていただき、その後7連覇を達成)。来月にその前哨戦とも言える女子の大会があり、3年ぶりに女子大会が開催されるので、チームとして整えて準備をしています。しんどいこともありますが、みんなで目標に向かって頑張るのはとても楽しいです。

しんどい練習とか、つらいこともありますけど、それも含めて楽しいと思っています。あとは男子チームの伊丹スーパーフェニックスでも同じなんですけど、天皇杯で前回は6位だったので、少しでも上に行くために新しいことにチャレンジしたりとか、うまくいかないときも、どうやったらうまくいくか話をしているところです。

日本代表チームは東京パラが終わってから体制も新しく変わり、ほんとにしんどい練習を合宿中にしてきました。次は世界選手権のアジア予選がタイであるので、練習でやってきたことが海外のチーム相手にどれぐらい通用するかを試したいと思っていて、いまはその楽しみのほうが多いです。(その後5月にタイで開催された2022アジアオセアニアチャンピオンシップス(女子)で2位を獲得)

記者.ありがとうございます。今のスポーツの醍醐味というか特にここが楽しいとか、ここの楽しさを知ってほしいとかありますか?

網本.醍醐味としては音の激しさです。車いす同士がぶつかる時の金属音が、生で観戦する時の醍醐味です。私は、車いすバスケは3段階で楽しんでもらえると思っているのです。まずは観てもらって、すごいと思ってもらえること。次に実際に体験してもらえること。そこでたぶん思ってた以上にできないと感じると思うので、それから再度観てもらうことで、「あんなに難しいことをこの人たちこんなにもできるんだ」などと感じてもらえると、さらに楽しめるかと思います。

そして、観てもらう人が一人でも増えるとバスケをやりたいという人が増えることにつながると思うので、楽しさが伝わるといいなぁと思っています。

車いすバスケをする人には、いろんな障害を持っておられる方がいらっしゃいます。普段歩ける人から、日常的に車いすを使っている人、みんなが必要とされるのもこのスポーツの醍醐味だと感じます。

記者.今の目標や生きがい、何があってそう感じているのか、などを知りたいです。

網本.目標は、パリ(2024年パラリンピック)でメダルを取ることを一番に掲げています。強化指定選手みんなが覚悟を持って、できるだけメダル獲得が現実的に狙えるようにしたいと思っています。

今回、東京パラリンピックで6位だったのはすごく光栄なことでしたが、自分としてもチームとしてももうちょっと上を目指せると感じた大会になりました。三大会ぶりの出場で功績を挙げたというのもあるけど、パラリンピックに出続けることの大切さとか、国として結果を残していくということで、車いすバスケット、特に女子が盛り上がっていけるようにしたいです。そこが、私的には一番の目標というか、これからやっていきたいことかなと思っています。

記者.盛り上げていきたいという感じなのですね。

網本.競技人口が減っている現状がある中で、男子日本代表チームがメダルを取ったりして、注目されています。女子チームは高齢化が進み、競技人口の減少、障害の程度による偏りなどもあるので、改善の策としては競技人口を増やすことだと思っています。今後さらに取り組んでいきたい課題です。

記者.周りの方々の応援・支援・協力は、どんな時に感じますか?

網本.常日頃から感じています(笑)。ビームスの皆さんに理解してもらっているところが大きいと思いますし、木下もマネージャーのように協力してくれています。会社もクラブチームのチームメイトも、合宿や遠征で長期不在の時も快く送り出してくれて、そういう人たちのおかげでバスケが出来ているのだなと感じています。

さらに、一番は家族が本当によく理解してくれていて、わがままを言っても嫌とも言わずに聞き入れてくれているから、バスケを続けられていると思っています。そういう周りの皆さまの応援と協力に、本当に感謝しています。

記者.ありがとうございます。どんな道でも良いことだけではないと思います。うまくいかなくて悩んだ時などのお話もお聞かせいただけますか?乗り越えた工夫などを併せてお聞かせ願いたいのですが。

網本.バスケで言うなら、新しい技に挑戦して、うまくいかなくって……。何でもすぐにうまくいくなら、みんな天才です。新しいことや、チャレンジしようと思ったことを、やっぱり、すぐには実現できない。できないけども、如何に継続して習慣化させて、頭の中で考えなくてもその動きができるようになったり、スキルが出せるときというのは、それは体が勝手に動けるくらい習慣化されているときだと思うんですよね。

それができるようになったら、また違う技を増やしていけると思っています。うまくいかないときも、バスケのプレイ中はあきらめずに、「意識し続ける」こと。

普段の生活とかで、「今日、あんまりうまくいかないなぁ」というときは、何気ない行動に気を付けたりしています。運転に気をつけようとか。自分の中でつらいことがあったら、「無理にもがかず、休むこと」をすごく意識しています。

記者.変わった質問かもしれませんが、ご自身の障害が、お仕事や活動などで肯定的に感じることはあるでしょうか?ある場合、どんな時でしょうか。

網本.そうですね。なんやろな。自分の障害はアピールポイント、チャームポイントだと思っています。それが思えるようになったのは、周りの人たちが応援してくれたり助けてくれたりしたおかげです。

逆にいえば、この障がいがなければ車いすバスケの存在も知ることがなかったかもしれない。そういう意味でも親に感謝しています。

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ペルオンとは?

ペルオンはホープグループ、ミッション株式会社を母体にしたペルオン実行委員会が制作してるポータルサイトです。

障害の当事者が作る当事者目線のサイトが作れないかと思い、サイトを立ち上げました。ペルオンという名前はPersonnes handicapées(ペルソンヌ・オンディキャピー)の略で、障害者仲間という意味からとりました。

当事者会・支援団体・家族・地域・職業・年齢などの枠を超えて、障害者に関係する全ての人が連携して、さまざまなことにチャレンジし、障害者の可能性を探ってまいります!

ペルオンに興味を持ったあなた!もうすでに、仲間なんです。

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「障害」の表記について

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