2022年8月19日更新

大阪にゆかりのある選手に聞いてみよう!松本義和選手-柔道(パラリンピック)(2/3)

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自分の可能性を模索して、できることを増やしていこう

―できないことがどんどん増える―

試合中の松本選手

松本.高校の頃から目が悪いことでできないことが奪われていくという経験をして、特に11月に入って全盲になってからは、できないことがあまりにもたくさんあって、どんどん奪われていく。

全盲でできないことなんて、いっぱいあります。普通のスポーツなんて全部できないです。野球やりたい、テニスできない。自転車もクルマもできないです。文字書いたりとかもできません。

―工夫すればできることがある-まず第一歩でやってみよう―

松本.でも、日本ライトハウスに行って訓練したことで、できることもいっぱいあるのだということを知りました。頑張ればできる、工夫すればできる。だから、僕は目が悪くなってからも、とにかく、できることは何でもしようと、何でもする限りはある程度頑張ろう。できないことでも、頭からできないじゃなくて、目が悪いからできないじゃなくて、まず第一歩やってみよう。プラスなんとかできる方法がないかを考えてみよう――。

その日本ライトハウスの20歳の時の発想で今まで生きてきました。だから、柔道も盲学校の時にはそんなに強いほうではなかったけれども、それなりには頑張りました。

―スポーツも、できるものはやってみる―

松本.当時は、そんなに強い方ではありませんでした。柔道はずっとやっていましたけど、視覚障害者ができるスポーツはほぼやって体験しました。20歳すぐの時に障害者の国体、水泳、陸上に出て、銅メダルを取りました。その後、パラ競技のゴールボールで日本代表になったり、ブラインドサッカーという(音の鳴るボールによるサッカー)を行い、2002年のパラ競技の時には日本代表のキャプテンもしました。

―どの代表になるか―

松本.1997年の時にゴールボールの時に、「代表になったら柔道をとるか、ゴールボールをとるか?」と言われて、「柔道とります」といったら、「そしたらもう来なくていい」と言われました。サッカーの時も、2003年にアテネを前にして、同じような体験をしました。それぞれのスポーツで活躍したかったけれども最終的に僕は柔道を選択したのです。

―視覚障害は「情報障害」ともいえる―

松本.ちなみに視覚障害者というのは大きく言えば、「情報障害」と言えます。五感で得る情報のうち、視覚からは8割以上の情報を得ていると言われます。その8割の情報を失って生きないといけないのです。でも8割を失ったままではない。失った情報の100%をカバーはできないが、点字などもあります。鍼灸・マッサージなんかの資格取得もそれでできました。

―便利になってきて、コミュニケーションできるようになってきた―

試合中の松本選手

松本.さっきの弁護士さんも点字で司法試験を受けています。僕の目が悪くなった頃から、ちょうど、パソコンが普及し始めました。ネットの普及もありました。ネットで新聞も読めます。ものすごく、助かりました。

パソコン通信を30歳頃から始めました(目が悪くなって10年)。メールができるようになり、健常者とやり取りが普通にできるようになったのです。とても嬉しかったです。もっというならば、視覚障害者と聴覚障害者はコミュニケーションが取れない。歴史的に仲が悪いというのもあるのだけども、つまり会話にならないのです。

口話(こうわ)でコミュニケーションがとれる例はありますがまれです。でもそれがメールならなんの苦労もなくコミュニケーションが取れるようになります。これ、すごいことです。視覚障害者の改革の3大革命です。1つはパソコンができるようになってメールができるようになったこと。2つ目は、携帯電話。携帯電話を持つようになった。従来は見えない者同士の待ち合わせがとても大変で、改札口での待ち合わせもかなり苦労していました。見えない者同士で待ち合わせしたとしても、同じ場所で「こないこない」とお互いに待っているなんていうこともよくあったのです。でも、携帯電話があったら、それだけで解決してしまいます。健常者も同じだと思いますが。

―スマホ時代になってさらに情報が得られるようになってきた―

松本.公衆電話を探すこと事態が大変でしたが、携帯電話の普及によってかなり改善されました。3つめがスマホ世代です。スマホ(iPhone)になるとかなりの機能が追加されて助かっています。

文字情報も正確じゃありませんが、だいたいのことはわかります。カメラを使ったらカメラで文字を読み取る機能は素晴らしい。自動販売機でジュースが何かもわかりますから。

いろんなアプリが登場して、ナビゲーションアプリもあります。目的地を設定すると案内してくれます。ただ、コンビニの建物まで案内してくれるけど、入口の場所がわからないというのは今でもあります。近くまで行って、通りがかりの人に入り口を聞いてようやく入ることができます。カメラで商品を読み取れるのでコンビニに行って商品検索もできます。

通貨をカメラにかざせばいろんな国の通貨を読み取ってくれるし、カメラを使って、色を読み上げる機能もある。明るい、暗いもわからなかったのが、それを知るアプリもあり、カメラで写真を取ることも音声ガイダンスで可能になります。

Be My Eyes(ビー マイ アイズ)というアプリがあります。登録しているボランティアが待機していて、そのボランティアに連絡してサポートしてもらうアプリです。例えば、今、着ている服の色をボランティアさんに見てもらって教えてもらうなんてこともできます。

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ペルオンとは?

ペルオンはホープグループ、ミッション株式会社を母体にしたペルオン実行委員会が制作してるポータルサイトです。

障害の当事者が作る当事者目線のサイトが作れないかと思い、サイトを立ち上げました。ペルオンという名前はPersonnes handicapées(ペルソンヌ・オンディキャピー)の略で、障害者仲間という意味からとりました。

当事者会・支援団体・家族・地域・職業・年齢などの枠を超えて、障害者に関係する全ての人が連携して、さまざまなことにチャレンジし、障害者の可能性を探ってまいります!

ペルオンに興味を持ったあなた!もうすでに、仲間なんです。

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「障害」の表記について

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