2019年6月10日更新

精神科のワンストップサービスを目指す!清水クリニック (2/3)

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様々な取り組み(アニマルセラピーと腹部脂肪燃焼治療、リハビリ)

記者.清水クリニックには診察のきっかけにつながるいろいろな窓口があると聞きました。アニマルセラピーもあるそうですね。

清水.はい。うちの精神科の大きな入口にしているのが、アニマルセラピーなんですね。アニマルアセステッドセラピーというんですけれども、アメリカなどでは当たり前にやってますが、日本の社会では、そうでもありません。たとえば、老人ホームに動物を連れて慰問するというのはよくやっていますが、それはあくまでも、アニマルアセステッドアクティビティといって、動物と関わって楽しい時間を過ごしましょうというものなんですけれども、私たちはセラピーをやらせて頂いています。

私たちは、心理面、社会面、体の面とトータルでみますので、血圧の高い人がこのセッションが終わったら下がっています。鬱の人が、モチベーションを上げるのにこのセラピーを利用しているということもあります。そのために、このアニマルチームが存在しています。動物を飼いたいのに飼えない。「だったらここにおいでよ」というので引きこもりの人と関わっている。ここから診察につながる人たちもいます。

その他に、入口として、現在、脂肪燃焼や耳鍼(みみしん)というものがあります。とにかく、あの手この手で、診察だったりかかわりを持たせて頂けたらと思ってやっています。

記者.他の所では、お薬をたくさん投薬される診療所が多いと思うのですが。

清水.薬を飲みたくないと言って来られる方もいらっしゃるんです。でも、薬を飲みたくないのには理由があるはずなんです。たとえば、ある統合失調症の患者さんなのですが、うちで診察に訪れるのが数十件目だということでした。「数十件目なのはいいですけど、うちに来られても治せるかどうかわからないですよ」と親御さんに言ったんですよ。で、本人を診察に入れて、「薬飲みたくないと聞いたんだけれど、どうして?」って聞いたら「飲みたくないから」と。うん、わかりました。「で、色んな病院行ったと思うんだけど、そこでなんで続かないの?」と聞いたら「薬飲まないんだったら、注射するとみんな言うから」って、それもごもっともなんだけど、「なんで、注射とか飲み薬とか嫌なのかなぁ?」と言ったら「わからん」っておっしゃったのです。「じゃぁ、何がしたいの?」と言ったらその子が「働きたい」と言ったんですよ。ずーっと引きこもってるから。

「じゃぁ、働かせてあげると言ったら、先生の言うことを聞く?」と言ったら「いいよ。本当に働かせてくれるの?」というから。「うん、期限を1年とは言わないけれど、数年以内に働かせてあげる」って言ったんです。そしたら、その次の言葉は「僕、薬飲むから」って、「え?!飲んでくれるの?」って思わず言いました(笑)。で、今は働いています。その1年半後からきっちりと正社員で働いています。

彼は、今まで、どのお医者さんに行っても「薬飲め、それか注射だ」と、そんなことしか言われたことがないと。「何がしたい?」なんて聞いてもらったことがないと。そして、お薬を飲んで、1年ぐらい続いたころから本当に幻聴とかが減ってきたから、「働く?」って言ったんです。そしたら「いいの?」って返ってきたから「ただし、先生の条件付けの所から行ってくれる?」と言って、作業所から行ってもらったんですよ。

最初のうちは真面目に行って、3か月後くらいから休みだしているから、「それでも、週1回は行ってくださいね」って言ってたんです。そして、ちゃんと行ってたら、そこの作業所さんが皆勤手当とかをいっぱいくれたんですよ。「え?毎日行ってたらお金儲かるやん」って言うので「そら、どこの職場でもそうですよ」って言ったら、本当に全部行けるようになって、正社員雇用にしてもらって、今独り暮らしでちゃんと自活できています。親御さんが泣いて喜んでいました。「今までの何年間は何だったのだろうか」と。そんなふうに、患者さんの可能性を何とか作っていけれたらなぁと思っています。

落ち着いた環境の相談室

記者.清水クリニックはどんなところでしょうか?どんな雰囲気?

清水.何でも相談できるところかな。よろず相談所といつもスタッフが言っています。

記者.スタッフの人数は何人くらい?この地域の患者さんが多いのでしょうか?

清水.今、52~53人くらいです。在宅部門も含めてですよ。訪問看護ステーションもありますし、訪問介護もやっているので。で、在宅はこの地域の患者さんが多いですけれども、来られている患者さんは本当に色々なところから来られています。受付のスタッフが統計を取って、語っていたのですが、来られていない都道府県は岩手県と青森県だと。

新潟から来られた方に「ある程度おちついてきたからもういいよ(来なくてもいいよ)」って言ってあげたんです。そしたら、その直後に新潟の地震が起きたのです。で、うちの受付さんたちが、土地判らないのですが、その患者さんの住んでらっしゃるところが、近いですというのですぐに電話してあげたら「え?こんなことでお電話もらえたんだ」と、すごく感動してくださって、「普通は私たちのような精神科のものに声をかけてくれない」って言われたのです。「ああ、そうなんだ」と思って。うちは普通に受付さんが声をかけてくださるんですよね。そういうふうに、普通が普通じゃないんですよね。そこが、多分、みなさんネックになっている。

記者.患者さんの家族会もあるようですが。

清水.ここにかかられている患者さんは診察などで満足かもしれないけれど、家族の方が疲弊してきているんですよね。当事者さんが何年も引きこもったり、何年も病気だったりとかする。「家族さん対応をどうしたらいいでしょう」と、いつも私に聞きにくるので、以前は、この夜の時間に家族さんと面談をしていたのです。でもいつもそれでは、私の負担が大きいと言うので、PSW(精神保健福祉士)さんが家族会を作ってくれたんです。その子が主導でしているんですけれど、今は集まっている家族さん自体が主導で出来るまでになってきています。家族さんが疲弊しない方法であったり、「あ、その年代はこうした方がいいよ」とか、みんなが、私の代わり、スタッフの代わりに話ができるようになってきています。そんな風に、みなさんに支えてもらってクリニックをやらせてもらっている、今は、そんな感じがしています。

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ペルオンとは?

ペルオンはホープグループ、ミッション株式会社を母体にしたペルオン実行委員会が制作してるポータルサイトです。

障害の当事者が作る当事者目線のサイトが作れないかと思い、サイトを立ち上げました。ペルオンという名前はPersonnes handicapées(ペルソンヌ・オンディキャピー)の略で、障害者仲間という意味からとりました。

当事者会・支援団体・家族・地域・職業・年齢などの枠を超えて、障害者に関係する全ての人が連携して、さまざまなことにチャレンジし、障害者の可能性を探ってまいります!

ペルオンに興味を持ったあなた!もうすでに、仲間なんです。

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